【ライブエンタメの新世代|構造課題編 #5】 ライブ業界のビジネスモデルはなぜ変わりにくい? 成長市場に残る構造課題

市場は伸びている。でも、仕組みはすぐには変わらない

ライブエンターテイメント業界は、いま間違いなく成長しています。 ただし、ここでひとつ重要なポイントがあります。 市場が伸びることと、業界の仕組みが変わることは別の話だということです。

会場(ベニュー)、主催・興行、制作、チケット事業など、 ライブを支える役割分担や商習慣は、長い時間をかけて形づくられてきました。 だからこそ、外部環境が変わっても、その構造はすぐにはアップデートされません。

ライブエンターテイメント業界に残る構造課題とは 成長の裏側には、いくつかの課題も見えています。

ぴあ総研は、今後のリスクとして ・人材不足 ・施設の老朽化と建て替え ・チケット価格上昇に対する消費者の許容度 などを挙げています。

また、ACPC(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会)の基礎調査では、 アリーナは新設会場の影響で大きく伸びた一方、ホールの動員数は前年比89%にとどまりました。

つまり、ライブエンターテイメント業界の成長は、 すべてのプレイヤーに均等に広がっているわけではないということです。 規模や地域によって、恩恵の差が生まれています。

さらに経済産業省も、 ・ストリーミング時代への対応 ・海外展開 ・データ活用 といった、今後必要な変化を整理しています。

求められるものは明確に変わっている一方で、業界構造のアップデートはまだ途中段階です。

なぜ、この業界は変わりにくいのか

ライブエンターテイメント業界が変わりにくい理由は、その構造の複雑さにあります。

一つのライブには、 ・会場 ・主催 ・制作 ・チケット事業者 ・アーティスト側 ・来場者 といった、多くの立場の人が関わります。 つまり、何かを変えようとすると、複数のプレイヤーとの調整が必要になるということです。

さらにもうひとつの要因があります。 それは、これまでの仕組みでも“回ってきた”という事実です。 市場が成長している今は、 極端な話、多少古い構造でも成立してしまう。 その結果、「変えなくても回る状態」が続いてしまうという側面もあります。

成長市場であることが、逆に構造の変化を遅らせる。 ここに、この業界特有の難しさがあります。

それでも、この業界には大きな余地がある

ただし、ここがいちばん重要なポイントです。 課題が多いということは、裏を返せば、変えられる余地が大きいということです。

たとえば、 ・データ活用による需要予測 ・顧客理解の深化 ・会場体験の再設計 ・デジタル接点の強化 ・現場オペレーションの改善

いまのライブエンターテイメント業界には、まだアップデートできる領域が数多く残っています。 完成された産業ではなく、これからつくり替えられていく産業とも言えます。

では、その変化を動かすのは誰か

ここまでで、 ・市場は伸びている ・アーティストのニーズは変わっている ・でも構造はまだ古い部分が残っている という状況が見えてきました。

そうなると、次に気になるポイントはとてもシンプルです。 「この業界で、自分は何ができるのか」という視点です。

変化が起きている市場では、新しい役割やポジションが生まれます。 ライブエンターテイメント業界も、まさにその状態です。

では、実際に未経験からライブエンターテイメント業界に入ることはできるのでしょうか。 ・どんなスキルが求められているのか。 ・どんなバックグラウンドの人が活躍できるのか。

次回は、ライブエンターテイメント業界への転職という視点から、いま求められている人材像とキャリアの入り方を整理します。