【ライブエンタメの新世代|変化の起点編・補 #8】映像ビジネスに学ぶ、エンタメ「確実に当てる」への転換
音楽業界の変化は、映像業界を見るとよくわかる
以前、「ライブエンタメの新世代|変化の起点編 4」の記事で、 ストリーミングの普及でアーティストが「世界に届くライブ」を求めるようになっていることを記載しました。 この変化は、先行する映像ビジネスを参照すると、より立体的に理解できます。
結論から言うと、エンタメビジネスは全体として「数打てば当たる」から「データで確実に当てる」へと移行しつつあります。 音楽業界への就職・転職を考えるなら、この流れを押さえておくと強みになります。
なぜ映像業界が参考になるのか
近年、映画やドラマでシリーズものや「シーズン2」等の展開が増えています。 これは、かつての「大型作品に多額を投じ、当たれば大きいが外れも多い」という博打的なやり方から、 配信プラットフォームに代表される「確実に当てる」ビジネスへの移行を意味します。
背景にあるのは、プラットフォームが持つ視聴データやユーザーインサイトを、制作者(クリエイター)自身が深く学び、 作品づくりやメッセージの発信を戦略的に考えるようになったという変化です。
音楽・ライブ業界への応用
同じことが音楽・ライブ業界でも起き始めています。アーティスト自身が顧客データやインサイトを知ることで、 「自分たちのメッセージをどう世界に伝えるか」をより深く設計できる世界が広がっています。 データがこれを後押ししています。
IFPIによると、2024年の世界の録音音楽収益の69%をストリーミングが占めた。 経済産業省も、日本の音楽産業の拡大には海外展開が不可欠であり、 SNS・データ分析・デジタルマーケティングの重要性が高まっていると整理している。
つまり、音楽が国境を越えて届くこと自体は特別ではなくなり、その先で「どうファンやリスナーとの関係を深めるか」を設計できる人材の価値が高まっています。
音楽業界の仕事は「データを扱う仕事」に広がっている
この潮流を踏まえると、音楽業界・エンタメ業界の仕事は、感性だけでなく次のような力が活きる領域に広がっています。
・視聴・購買データを読み解き、企画や発信に反映する力 ・ファンとの継続的な接点(配信・コミュニティ)を設計する視点 ・「作品の良さ」と「届け方の戦略」を両輪で考える姿勢
映像業界でクリエイターがデータを学んだように、音楽・ライブ業界でも作り手と届け手の双方がデータを使いこなす時代に入ってきています。
まとめ
エンタメは「数打てば当たる」から「データで確実に当てる」へ移行しています。 映像業界の先行事例は、音楽・ライブ業界の近未来を映す鏡です。データを扱う視点は、音楽業界への就職・転職で確かな武器になります。 なぜ音楽・ライブ業界では「データを使いこなす」ことがそれほど重要なのでしょうか。 次回は、業界最大の弱点ともいえる「顧客データの分断」という構造課題を掘り下げます。